plaisir de la table
プレジール・ドゥ・ラ・ターブル
ホテルに入社された当初、サービス部門へ配属されたとか?ええ、そうですね。高校時代から料理人になることに憧れ、決意して入社を決めたので、当初は『えっ?』と思いました。けれど、サービスというお客様に一番近いところで2年間働けたということは、今思えば、すごく勉強になりました。
いろいろなお客様が、いろいろな目的でホテルやレストランへいらっしゃるわけです。それを若い時期に知ることが出来たことは料理人としての財産ですね。
そうですね、フランス語はそれなりに勉強したつもりでしたが、まずはメニューを厨房に通す時の言い回しに困惑しました。なんと言っても早口ですし、独特の言い方があるのでそれに慣れるまでが一番大変でしたね。
美味しいものを作り出すのは当たり前だと思うのです。
プラス見ても美しくなければ、意味がありません。例えば最初の一皿であるオードブルの盛り付けなどは、かなり気合をいれます。
お客様が最初に目にする料理ですから、見て、食べて感動していただけるものにしなくては…といつも思っています。
最後に召し上がっていただくデザートも同様で、料理を締めくくる存在だからこそ、インパクトと余韻が重要だと思っています。
今は、フランス人シェフがわざわざ日本料理の繊細な技術を学びにやってくる時代です。そういう意味では、私たちも日本料理の季節感や彩の美しさを見習わなくては…と思います。
フランス料理の中に、和の季節の移ろいや、美しさを表現できたらすばらしいと思いますし、取り入れて行きたいと思います。
そうすれば、よりお客様が感動してくださるのではないかと…。
*ジョルジュ・ブラン [仏] Georges Blanc
フランス・ブレス地方、ヴォナス村にあるレストラン。1981年に、ミシュランガイドで三ツ星が与えられた。130年の歴史あるレストランで、新しい感性を生かした伝統料理と季節の食材をふんだんに取り入れた独創的な料理を得意とする。
取材を終えて
終始、穏やかな表情で話す印象の中田シェフ。
物腰もゆったりとしていて、一言でいうならば『柔らかな人』である。
苦労話さえ、楽しかった思い出話のような雰囲気で話す姿が、人柄のすべて物語っている。
しかし、料理に関する質問に及ぶと、表情に違うニュアンスが生まれ、突然、目の輝きが増すのである。そして、その視線の先には、いつも彼の料理を愛する『お客様』がいる。
「柔らかさ」とは「しなやかさ」に通じる。
中田シェフは、そのしなやかな感性の奥に「強さ」を秘めた数少ない料理人の一人だ。
2008年8月25日
取材・文:神橋里美