ムッシュ米津の家庭料理
マルセイユ風ブイヤベース

旬のお魚をたっぷり使ったマルセイユ風ブイヤベース

新鮮な魚が驚くほど高い日本では、ブイヤベースは贅沢な料理になってしまいました。ホテルでもブイヤベースは、特別メニューとしてお出ししています。

それだからこそ、我が家の大切なお客さまのもてなしに思い切ってブイヤベースを作ってみませんか。

ご馳走には肉料理という先入観を捨てて、魚料理の本当の美味しさをわかって頂きたいのです。

地中海そのものを煮込んだような

ブイヤベースと聞いただけで、地中海の陽光のきらめき、はじけるような人びとの笑い声、
潮の香が漂ってくるようですね。
南仏のカンヌ、ニース、マルセーユを訪れる人たちの楽しみの1つは各店自慢の魚料理を味わうこと。

ムール貝をワインやエシャロットで煮たマリニエール。
ヒメジと赤魚を、新鮮なウイキョウ、パセリ、オリーブオイルにつけて、包み焼きにしたパピヨート。
カレイのムニエルに、ニンニクをきかせたトマトやオリーブなどのソースをかけアンチョビを飾ったプロバンス風の料理もあります。

なかでもブイヤベースは、各店のそれぞれの料理人が秘伝の味を競い合います。
港町で水揚げを終えた漁師たちが、網に残った小魚や貝を大なべにぶち込んでごった煮にしたのが最初ともいわれています。
鍋の中で地中海そのものを煮込んだような魅力です。

材料(4人前)
★マルセイユ風ブイヤベース
数種類の魚(*1)の切り身
(1切30gくらい)
各4切れ

才巻エビ(約30g)
8尾
ムール貝
8個
中ハマグリ
8個
タマネギ
200g
ポロネギ
200g
トマト
200g
サブラン・ウイキョウ
各少々
魚のブイヨン
1,000cc
貝の煮汁
200cc
刻みパセリ
少々
オリーブオイル
少々
★アイオリ
ニンニク
10g
卵黄
1個
ひとつまみ
オリーブオイル
100cc
★フランスパン
お好みの量で

  1. タイ・コチ・ヒラメ・ハゲ・開きアナゴなど。
    なるべくあらのでるものを選びます。

マルセイユ風ブイヤベースの作り方

  1. 下ごしらえ
    魚 ………… 三枚におろして食べやすい大きさの切り身にします。
    ハマグリ … 砂をはかせます。
    エビ ……… 背わたを抜いて頭の先を少し切り落とします。
  2. 魚のあらでブイヨンをとります。
    魚は水でよく洗い、鍋に約1.5リットルの水を入れて、煮ます。
    煮立ったところでタマネギ、ポロネギの切れ端があれば100gほど入れます。
    そのまま20分ほど煮て、そっとこします。
    ※ブイヨンの出来上がりはカップ5杯(1リットル)程度になるようにします。
  3. ハマグリを少量の水で蒸し煮にし、片貝にします。
    煮汁は200ccほど残しておきます。
  4. A.タマネギ、ポロネギをせん切りにします。
    B.トマトは、皮と種を取ってみじん切りにします。
    Aをオリーブオイルでやわらかくなるまでいため、Bを加えます。
    トマトが煮溶けたら、サフラン、ウイキョウを入れ、魚のブイヨンを注ぎ入れて薄く塩味をつけます。
    これでベースの完成です。
    ※ネギはよくいためます。トマトはよく熟れたものを使うのがおいしさのポイント。
  5. ベースを煮立て、魚を重ならない程度に2種類ぐらいずつ順番に入れ、煮えたら器に取り出します。
    この時エビも煮ておきます。
    ※必ずベースを煮立ててから、魚を入れます。そうしないと生臭さが残るため注意しましょう。
  6. 貝の煮汁も一緒に入れ、ブイヨンの味を調べます。
    煮た魚介類を一人前の耐熱鍋に取り、ブイヨンを均等に注ぎ再び火にかけ、熱くなったところへ刻みパセリをふり、なべのまま食卓へ。

アイオリの作り方

アイオリは、にんにくを加えたオリーブ油ベースの乳化ソースです。

今回ご紹介したマルセーユ風ブイヤベースには、ニンニクを使っていません。
その代わりに、アイオリを添えて一緒に並べます。

  1. ニンニクをすり下ろします。
  2. 卵黄をボウルに入れ、塩ひとつまみを加え、よくかき混ぜます。
  3. オリーブオイルを糸のように垂らしながら混ぜていきます。
  4. 最後にすり下ろしたニンニクを混ぜます。
  5. 薄切りにしたフランスパンをオーブンで乾かすように焼き、皿に盛ってアイオリとともに添えます。

    ※1→2の順番を間違えると、分離してしまうのでご注意してください。
    出来上がりはマヨネーズぐらいの柔らかさですが、もしもかたすぎるようであれば水を小さじ1〜2杯程度加えてください。

おいしい食べ方

ブイヤベースは、1人前ずつキャセロール(耐熱鍋)に取り分けて、火にかけ、熱々を食卓に出します。家族全員でテーブルを囲み、おいしい食事と会話を楽しんでください。
ブイヤベースのおいしい食べ方

食材について

エシャロット(仏:echalote)
ユリ科ネギ属の多年草。わけぎの近縁種。原産地は西アジア。
うす茶色の薄皮に包まれ、鶉の卵大に発達した鱗茎を食用にします。ソースやスープの味を高めるのに用いられます。日本の市場では、ラッキョウに似たものが販売されています。

ヒメジ(仏:goatfish)
ヒメジ科の魚。体はコイに似ていて美しい赤色のものが多く、日本全国に分布していますが、西日本にはことに多く見られます。雑魚として扱われることの多いヒメジですが、味の良い魚で、冬が旬。

ウイキョウ(仏:fenouil)
セリ科の植物の種子を原料とした香辛料。フランス語では、「fenouil=フヌイユ(英:フェンネル)」といいます。ヨーロッパ原産で、日本では岩手、長野で生産されます。
リキュール、パン、肉類の製品、特にブイヤベースには欠かせない香辛料。

用語解説

ブイヤベース(仏:Bouillabaisse)
マルセーユのスープ仕立ての魚料理。アルキメデスやピタゴラスも好んだ、古代ギリシャからの魚のスープが発展したもの。19世紀、文学作品に多く登場した為に有名になった。7〜8人以上で食べることを理想としている。
語源は、「builli(沸騰した) abaisse(火を落とす)」、「baisse(安い魚)bouilli(茹でたもの)」とも云われます。

マリニエール(仏:Marinière)
海の魚や貝を白ワインで煮た料理に用いる表現。
ムール貝の煮汁を使ったソースなどをこう呼びます。

アイオリ(仏:Ailloli)
にんにくを加えたオリーブ油ベースの乳化ソースのこと。
プロヴァンス語の alet(にんにく)と oli(油)の合成語。
ステーキやサラダにも使えます。
※正しい発音は「アイヨリ」となるらしいのですが、厨房ではなまって「アイオリ」と呼んでいます。また、一般的にも、「アイオリ」として浸透しているようです。


参考文献:
フランス食の事典(日仏料理協会)
ヒメジ・ウイキョウは改訂食品辞典(真珠書院)

レシピ・写真:資料提供:ひかりのくに株式会社

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