plaisir de la table
プレジール・ドゥ・ラ・ターブル
味って云うのは相乗効果ですね
たとえば西洋料理では、バターは重要な調味料ですが、一方ではバターの美味しさが欲しくて、
そのくせ、バターのくどさを消したいとき、酸味を効果的に使って、味を仕上げていくことがあります。
この「牛肉とタマネギのビール煮」も、そうなのです。
タマネギを非常によく炒めて甘さを出しながら、ビールのほろ苦さによって、
タマネギの気になる甘さ、肉のしつこさを抑えていくもので、複雑で微妙な味が生まれます。
哲学的にいえば、アウフヘーベンっていうことになりましょうか。
もともとは、フランドル地方のごく素朴な家庭料理だと思います。
フランス料理名でいえば「カルボナードのフランドル風」
ベルギーからフランス北部にかけてのフランドル地方はビールのおいしい土地柄です。
ビールを使った料理っていうのは、案外少ないですね。
クレープやベニエの生地を溶くときに、少し入れてみるなんてことはありますけれど。
ああ、そういえば、イギリスに「ウエッリシュ・レアビット」というものがあります。
チーズをビールで溶かして、さっとオーブンで焦がしたもの。ウエールズもビールの美味しい
土地なんでしょうね。
この「牛肉とタマネギのビール煮」も、フランドル地方の人たちが、たまたま手に入った
牛肉を、自分とこのビールで煮込んでみたら、おいしい。「こりゃあ、いける」っていうところから
生まれたのではないでしょうか。
材料 4人前 | |
牛肉(シチュー用) | 600g |
牛脂 | 少量 |
タマネギ | 600g |
ビール小缶1本 | 350cc |
砂糖 | 10g |
固形スープ | 2個 |
ベイリーフ | 1枚 |
コーンスターチ | 小匙2杯 |
塩・コショウ | 適宜 |
ニンジンのグラッセ | |
−ニンジン | 500g |
−バター | 20g |
−砂糖 | 10g |
−塩 | ひとつまみ |
* じつはフランス人って、スープの中にパンを入れて食べるのがすきなんです。
コーンスターチの代わりにフランスパンを薄切りにして4〜5枚、ソースに入れてさっとかき混ぜると、
ちょうどいい加減のとろみがつきます。
* 野菜を煮るとき、フランス料理ではたいていだしを使いません。バターが調味料なのです。
バターと味つけの塩があれば、あとはニンジンのおいしさで食べていただけます。
ニンジンを買うときは根元を見て、できるだけ赤い部分の多いのを選んでください。
文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社
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