ムッシュ米津の家庭料理
クリのポタージュとハマグリのチャウダー
"一皿のあたたかさがうれしい"
秋から冬にかけて、心にもからだにも、何かやさしさ、あったかさがほしいとき、
一皿のスープがうれしですね。
たっぷりの材料を使い、時間も手間もかけて仕上げたスープを、
銀のスプーンにひらりとすくって口に運ぶときの、あのちょっとした間合い。
大げさにいえば、人生を感じますね。
秋の収穫を祝って届けられたクリのポタージュ、それに水温が低くなって、
身もしまってきたハマグリのチャウダー、カキのミルク煮。
見習い時代、ハマグリのチャウダーをこしらえる際、
「ハマグリを煮ておけ」といわれて煮ました。
そして、煮汁を全部捨てて、ハマグリの身だけ、ていねいに取っておいたのです。
さて、スープを作る段になって、煮汁がない。
「どうしたんだい?」
「捨てました」
「このやろう!」
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材料たっぷり、手間かけて
スープのコンソメは、私たちの仕事の中でも難しい料理の一つです。
街には固形スープを始め、さまざまな種類のインスタントスープが
出まわっていますが、実際は二日がかりで仕上げるのです。
一日目は、砕いた牛のすね骨や、すね肉、トリがら、ニンジン、
タマネギ、セロリなどを大なべ入れ、水を張って火にかけます。
煮上がったら、火を弱くして、あくを取り、6−7時間煮て、
一番ブイヨンを作ります。
二日目は,脂も筋もすっかり除いた牛の赤身を細かく切り、ニンジン、
タマネギ、セロリなどに卵白を加え、一番ブイヨンを注ぎ入れて火にかけ、
5時間ほど煮て、透明なコンソメを作ります。
材料を惜しめば味は出ませんし、火加減が悪く、あく取りが不充分ならば、
透明になりません。
でもこれは、料理屋の仕事ですから、ご家庭では、「冷たいポタージュ」の項で
使ったチキンブイヨンをていねいに作って、秋のスープをこしらえてください。
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"トリのブイヨン " 作り方
材料 *出来上がり 6カップ(1200cc) |
トリがら3羽分 |
約750g |
ニンジン |
50g |
タマネギ |
100g |
セロリ |
50g |
ベイリーフ |
1枚 |
- トリがらは、あばら骨についた内臓をとり、
小さく切り割り、水洗いします。
- ニンジン、タマネギ、セロリを小切りにし、ベイリーフ、
トリがらと共に大鍋に入れ、水をカップ15杯加えて
煮立てます。煮上がり際に火を弱くし、アクを丁寧に
すくい取ります。
- 塩をひとつまみ加え、約2時間煮ます。箸で摘んで、がらがくずれる位になったら、
火から下ろして漉します。
* 途中煮詰まるようなら差し水をします。
* 煮上がった時、火を弱くしないで煮続けると、アクが混ざって、ブイヨンがにごります。
残れば、冷凍して保存します。
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"クリのポタージュ " 作り方
材料 4人前 |
むきグリ |
300g |
タマネギ |
50g |
セロリ |
50g |
チキンブイヨン |
800cc |
小麦粉 |
大匙1.5杯 |
生クリーム |
100cc |
バター・塩・コショウ |
適宜 |
☆ 作り方
- タマネギ、セロリをみじん切りにし、バター大匙1杯で
いためます。
- クリの皮をむき、渋皮もていねいに取って、洗います。
水気をふきとり、4−6に割って、タマネギとセロリの
なべに加え、小麦粉をふり入れ、軽くいためます。
- チキンブイヨンを600t入れ、軽く塩、コショウをし、煮立ったら弱火にして、ふたをし、
約20分間、クリがやわらかくなるまで煮ます。
- 目の細かい裏こし器にかけて(ミキサーでも結構です)なべに戻し、残りのチキンブイヨンで
濃度を調整します。
- 煮立ったら、塩味を調べ、生クリームを加えて仕上げます。
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"ハマグリのチャウダー " 作り方
材料 4人前 |
ハマグリ(小) |
400g |
ジャガ芋 |
200g |
ベーコン |
50g |
タマネギ |
100g |
牛乳 |
300cc |
チキンブイヨン |
300cc |
粉末タイム・ナツメグ |
少量 |
バター・クラッカー |
適宜 |
☆ 作り方
- ハマグリを良く洗ってなべに入れ、ふたをして
火にかけます。
貝の中の水分で蒸し煮にされ、殻が開きます。
- 火からおろして、貝殻から身をはずし、
煮汁の中で洗って器にとり、煮汁はガーゼか茶こしでこしておきます。
- タマネギ、ベーコンを約1センチの角切りにし、ジャガ芋の皮をむいて、
同じ大きさの角薄切りします。
- ベーコン、タマネギをバターで軽くいため、チキンブイヨンを入れ、
ジャガ芋、粉末のタイム、ナツメッグを入れ、野菜がやわらかくなるまで
弱火で煮ます。
- ハマグリとハマグリの煮汁、牛乳を加え、塩味を整え、熱くわかして
スープ皿に取り分け、クラッカーをくだいて入れます。
* 写真にはありませんが、カキのミルク煮のお話しをもうひとつしましょう。
牛乳700t、生ムリーム200t、バター40cをなべに入れて煮立てます。
中くらいの大きさのカキ24粒を入れ、塩、コショウ、ナツメッグで、調味し、
カキに八分通り火が入ったところで火からおろします。
スープ皿に取り分け、クラッカーを1人前に2枚位砕いて入れます。
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文・写真(イメージ写真)提供:ひかりのくに株式会社
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