フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol. 12  11月


この度、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館

plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の

内容の充実に取り組んでおります。

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皆さんこんにちは。秋も深まった感じです。
お元気でお過ごしでしょうか。

今月は香辛料のお話しの続きをしましょう。

(少し長文となりますが、いろいろな香辛料を紹介しており
ますので、秋の夜長に、ゆっくりとお楽しみください。)

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☆ 香辛料の効用

食欲の増進、防腐作用、医薬的な作用があげられます。

香辛料特有の精分は刺激性ですから、消化器の粘膜を強く刺激
して、中枢神経の働きを高めます。

その為、消化器へ送り込まれる血液は多くなり、消化液の
分泌が高まって食欲が増進されます。その結果消化が良くなり、
腸のぜん運動もうながされて吸収が良くなるわけです。

中枢神経の作用を高めることは、血行を良くすることであるから、
寒い季節には体が温まります。
唐辛子は、特にその目的に使われることが多いのです。

刺激精分は、人体内で回虫や、寄生虫の駆除に効果がある
云われており、又その防腐力によって、食中毒や食物の腐敗を
防ぐ効果
があります。
食塩、酢、砂糖と併用するとより効果が高まります。

防腐力:コショウ・カラシ・ショウガ(鰹)・ワサビ(刺身)等
辛味の強いものほど高く、唐辛子は殺菌力が強くありません。
その為、乾燥型のソーセージ(サラミソーセージ)には非常に強い
香辛料が使用されています。

ビールのホップも発酵させている麦汁が腐らない様に、ホップの
防腐作用を利用したものです。現在では、ビールを美味しくさせる
苦みとして用いられています。

香辛料の多くは、漢方薬に使われています。

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☆ 香辛料の使い方

香辛料の歴史が肉のにおい消しからスタートしたことから思えば、
香辛料が矯臭効果を特に持つことは当然であります。

しかし香辛料を使ううえにおいていちばん大事なことは、
ひとつの香辛料が万能でないことであり、いろいろの香辛料を
うまく組み合わせてゆくこと
が必要であります。

香辛料はだいたい、におい消しや香り付けが多いので、一般に
料理の始めの方で使うことが多々あります。
調理の下準備の段階で、獣肉や時としては魚に香辛料をまぶして
香り付けをします。

香辛料を使う上で、一番大切な事は、主成分が揮発し易いと
いう事
です。揮発するからこそ、香りを用いる事が出来るわけで、
そのことがまた欠点ともなっています。

使用しないで長い間放っておくと、香りも味もとんでカビ臭い
スパイスになります。従って、出来るだけ小単位で、しかもよく
売れている店で買う事が望ましく思います。
また買ったものは、なるべく早く使用してしまう事です。

欧米では各家庭に、コショウ挽きという小さい道具があって、
コショウを使う必要があるごとに、粒コショウをそれに入れて、
ガリガリと手で回して、挽きながら料理に振り込みます。
こうすれば、常に非常に新鮮な香りが楽しめるわけです。

こういったことから香辛料を買う場合は、密閉された小単位の
容器入りをおすすめ
します。

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☆ 香辛料それぞれ

○カレー粉
 世界でもっとも普及している混合香辛料です。
 基本的にはC&B社のカレー粉を踏襲したもので、
 その味は主にクミン、コリアンダー、
 その辛味は主に唐辛子、胡椒,ニンニク、生姜、
 その色は主にターメリック、サフラン、パプリカ、
 その香りは主にクローブ、シナモン、カルダモン、ナツメッグ、
 オールスパイス、キャラウェイ、フェンネルなどによるものです。
 混合する香辛料の種類、割合は、人によって様々な違いがあります。

○クミン
 別名ローマンキャラウェイという様に、キャラウェイによく似た
 強い香りをもつ、セリ科植物の種子。
 チーズ、カレー粉、シチュー、パンなどに使用されます。

○コリアンダー
 実はかなりの悪臭があり、完熟すると芳香に変わります。
 ギリシャ語のコリエ(南京虫)からコリアンダーの名が付けられて
 おります。
 白胡椒の様な形状で、パン、ピクルス、カレー粉などに使用します。

○唐辛子
 品種には、甘み種と辛味種があるが、香辛料としては、主に辛味種を
 使用します。

○ニンニク
 特有の強い香気と、辛味があり肉料理、サラダドレッシングの
 風味付けに使用します。南仏のプロバンス地方では、プロバンスの
 バニラと云われる位いろいろな料理に使用されます。

○生姜
 根茎を香辛料として用います。熱帯アジアの原産でヨーロッパでは
 出来ないので、西洋では乾燥させて使用します。

○胡椒
 インド原産。南部インド、マレー、セイロン、ボルネオ、西インド
 諸島、中南米で生産され、黒い外皮の付いたのが黒胡椒、熟成させて
 外皮を取り除いたものが白胡椒です。香辛料として多用され、大変
 歴史の古いもので、青胡椒、ピンクペッパーなどもあります。

○ターメリック
 うこんの根や茎を乾燥させた香辛料で、止血、健胃剤として使用
 されます。インド東部やセイロン島に産し、黄色色素のクルクミンを
 含有 するきれいな黄色であるため、カレー粉や、たくあん、バター、
 チーズ、洋辛子の着色料として利用されます。

○サフラン
 クロッカスの雌芯(めしべ)。オリエント原産、アラブ人の手で
 スペインへもたらされました。日本は岡山県で栽培。ブイヤベース、
 リゾットなどの米料理。その効能は、血行を良くします。

○パプリカ
 ハンガリーが主産地。スペインでも産出します。辛くない唐辛子の粉。
 ハンガリー料理のグーラッシュには不可欠な香辛料です。

○クローブ
 丁字の花のつぼみ。褐色の折れ釘状。モルッカ諸島が原産で、
 スープ、ハム、菓子、のほか化粧品にも使用します。

○シナモン
 肉桂という木の皮を乾燥したもの。セイロン島産の棒状のものが
 最上品とされています。リンゴに良くあうので、アップルパイ、
 焼きリンゴに使用します。日本の九州でも産出。
 京都の八つ橋に使用、日本への渡来は徳川中期頃。

○カルダモン
 インド・セイロン(スリランカ)地方に産するショウガ科植物の
 種子。ショウノウに似た香気が強い。
 ソース、肉製品、オランダ風の菓子パン等に使用。

○ナツメッグ
 にくずくの種子。東インド、マレー諸島、台湾とうにて産出し、
 ハム、ソセージ、菓子等に使用します。

○オールスパイス
 ジャマイカペッパーとも云い、実を乾燥させた香辛料。
 ナッツメッグ、シナモン、クローブを混合させた様な風味を
 もつ所から、オールスパイスと呼ばれます。
 肉の煮込み、フルーツケーキなどに使用。

○キャラウェイ
 姫ウイキョウとも云います。ヨーロッパの起伏の多い地方や、
 牧場などに生えている草木で、栽培も行われています。
 主産地はオランダ。根や果実は調味料として用いられ、
 チーズの香り付けや、パン・クッキー・ケーキなどに使用します。

○フェンネル(ういきょう)
 セリ科の植物の種子を原料とした香辛料で、ヨーロッパ原産。
 岩手、長野でも生産され、リキュール、パン、肉類の製品の
 香辛料として使用。ブイヤベースにも使用されます。

○ローリエ
 月桂樹の葉。地中海沿岸が主産地。
 ギリシャのオリンピックで勝者の頭に冠したのはこの月桂樹です。
 スパイスとして一番多目的に使用され、日本でも栽培されています。
 ソース・シチュー・スープ・ピクルスなどに多目的に使用されます。

○タイム
 たちじゃ香草の葉を乾燥したもの。南ヨーロッパ産。日本でも栽培。
 クラムチャウダー、魚、コロッケ、フリカッセに使用。
 ソーセージの香辛料としても欠かせないものです。

○セ−ジ
 サルビア属の植物で、その葉には、高い芳香と苦みと渋みがあり
 ます。肉類、特に豚肉に良くあいます。
 その他、サラダのドレッシング、チャウダー(スープ)、カレー
 ソース、ソーセージなどに広く使用されます。

○バニラ
 メキシコ、西インド、ジャワ、が主産地。バニラの未熟な莢状の
 果実を採り、炉で発酵させると甘い芳香が出てくる。
 一般には合成バニリンが多く使用されている。

○五香(ウーシャン)
 フェンネル・肉桂・山椒・丁字・陳皮の五種類を混ぜた中国料理の
 香辛料である。

○アニス
 種子を原料とする香辛料。ミツバグサ属の植物の種子で、イタリア
 及びフランス産が有名でる。芳香油の90%は固形アネトールより
 なり、テルペンも含有する。リキュール・パン・ケーキ・クッキー
 などに使用する。

○くちなし
 アカネ科に属する木の果実で黄赤色。果実が熟しても口を開かない
 ことからきている。カロチノイド系の色素を含み、無害なので
 食物を 黄色く着色するのに古くから使われてきた。
 たくあんや、栗の着色にしよう。

○八角
 大茴香またはスターアニスという。しかし、アニスともフェンネル
 とも全然異質な植物。種子をさやごと乾燥させ、香料として用いる。
 中国料理では重要な香料。

○ローズマリー
 地中海沿岸の原産。小さい松葉の様な、細かくて曲がった短い派。
 甘いフレーバーがあり、羊類の料理や、かぶ、カリフラワーなどに
 合う。

などが、日常よく使われている香辛料です。

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☆ わが家のチキン カレ−

 *材料 4〜5人前
  チキン腿肉500c
  塩・胡椒
  サラダ油
  にんにく15c
  生姜50c
  マッシュル−ム150c
  玉葱400c
  人参120c
  セロリ−150c
  ポテト300c
  サラダ油・塩
  カレ−粉40c
  チャツネ75c
  チリソ−ス40c
  チキンブイヨン900t(別に濃度調整用300t)
  トマトジュ−ス300t

 作り方
 1 チキンは4−5aの角切りにします。

 2 ニンニク、生姜、玉葱、人参、セロリ−をみじんに切ります。
   マッシュル−ムは薄切りに、ポテトは、皮をむいて小角切りにします。

 3 チキンに塩、胡椒をし、フライパンにサラダ油を入れ強火で炒めます。

 4 ソ−ス鍋にサラダ油を入れ、ニンニク、生姜を炒めます。
   香がたって来たら、玉葱、人参を入れて炒め、
   しんなりした所にマッシュル−ムを加え、野菜が柔かくなる迄、
   弱火で炒め、カレ−粉を加えます。

 5 続いて、炒めたチキン、ポテト、チキンブイヨン、
   トマトジュ−ス、チヤツネ、チリソ−スを入れて煮立てます。
   弱火にして、時々かき混ぜながら約1時間煮ます。 

 6 塩味を調え、煮詰まり加減を残りのブイヨンで調節をします。

 * チキンブイヨンの代わりに、
   水900tにチキンの固形スープ4個を加え、
   煮溶かしてご使用下さい。煮詰まった時はお湯を加えます。
   固形スープに塩味があるので、塩はひかえ目にして下さい。

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☆ お知らせ

ムッシュ米津の家庭料理のページでは
『カキとブロッコリーのクリームソース煮』
 作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

まっ白のソースの中で、真珠色に輝くカキは、
まるで貴婦人のような味わいです。
バターライスとブロコリーを添えて。

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フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

今月は「発酵バター」「海塩バター」
ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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