フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.29  2011年4月


ただ今、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館

plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の

内容の充実に取り組んでおります。

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皆様お元気ですか

待ちわびた春がやってきました
お料理作りは、あれこれとお考えのことと思います。

今日は空豆についてお話をしましょう。

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◇ソラマメ(空豆・蚕豆)

◇科名・来歴
マメ科ソラマメ属の双子葉植物の実です。
原産地ペルシャ北部または北アフリカといわれています。
歴史は古く、4千年の昔から栽培されていたという説も
あります。
わが国には8世ごろ中国よりはいってきました。

◇栽培
さやは長だ円形で厚みがあり、表面に微毛(びもう)があり、
中に2〜3個の豆がはいっています。
春の中ごろ葉腋(ようえき)に、蝶形をした薄紫色
または白色に紫黒色の斑点のある花が咲き、
そのあと、空に向かって莢(さや)が実ります
それで空豆と呼ばれるようになりました。
漢字で蚕豆と書くのは、養蚕期にできるからとか、
形がカイコに似ているからといわれています。

中国地方では『夏豆』、四国では『4月豆』、
静岡では『5月豆』、関西では『大和豆』、
神奈川では冬植えるから『冬豆』、千葉では
雪割り豆』、伊勢では『雁豆』ともいいます。
中国から伝来の意味で、九州では『唐豆』または
胡豆』ともいいます。
花が南に向かって開くから『南豆』ともいわれ、
和漢三才図会』には『子孫繁昌草』の名で出ています。
近畿以西の各地で栽培されていますが、
特に福岡、佐賀、熊本あたりの出荷が多く、4〜6月
ごろが旬
です。

生のものにはビタミンB1、Cが比較的多く含まれています。
空豆の美味しいのは、三日間だけといわれるほど鮮度の
おちるのが早く、莢付のものを選ぶことが肝心です。
むくとすぐに堅くなります。
莢は柄が緑色でみずみずしくしわのないものを選びましょう。

◇調理
むいたものでは、『おはぐろ』と呼ばれる豆の爪が
黒くなっていないものがよく、茹でたときにしわの
よるものや、皮の堅いものはよくありません。
調理する直前に莢から豆を出し、塩を少し入れた湯で、
3〜4分間茹でます
このとき、強火でふたをあけたままゆでることです。
そのまま、おつまみやおやつによく、また醤油と
お砂糖で煮含めても美味しいです。
生のまま切り目を入れて天麩羅にもなります。
また、若い空豆を炊き込んだ茶飯も、香りがよくて
美味しいです。

なお、この種のもので、『おたふく豆』とか『一寸豆』と
呼ばれるものは、成熟して乾燥したものを2〜3日くらい
水に漬けてもどし、とろ火で柔らかくなるまで湯煮したのち、
塩と黒砂糖で調味し、汁のなくなるまで煮込んだものです。

西洋料理では、空豆を莢からだし、茹でる時に塩と、
サーリエット(*1)を加えます。
茹でた豆の皮をむき、バター炒めにするか、生クリームで
和えたり、茹でた豆を、裏ごしにして、バター、塩、
胡椒で味つけした『空豆のピュレ』も美味しいものです。

(*1)サーリエット
英名:セイボリー、和名:キダチハッカ(木立薄荷)。
シソ科の一年草で、原産地は南ヨーロッパ。
豆科のハーブと呼ばれ、空豆・インゲン豆・レンズ豆の
調理に使用します。

私がフランスで料理の修行中によく作った、
懐かしい空豆のスープがあります。
今日はそれをご紹介しましょう。

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空豆の田舎風スープ 

 材料 4人前
 ・莢からむいた空豆 300g
 ・ベーコン 50g
 ・玉葱 150g
 ・卵黄 1個
 ・チキン固形スープ 2個
 ・水 4カップ(800cc)
 ・サーリエット(乾燥したもの) 小さじ半杯
 ・クラッカー 8枚
 ・バター
 ・ソース

 作り方

 1 空豆は少し固い目に茹でて、皮をむいておきます。
   玉葱は皮をむき、半割りにし、更に横半分に切って
   薄切り、ベーコンは7〜8mmの幅に切ります。
   サーリエットはガーゼで包みます。

 2 ベーコンとバター大さじ1杯を鍋に入れ、少し炒め、
   玉葱を加えてしんなりとなる迄炒め、空豆、
   サーリエット、固形スープ、水を入れて、野菜が
   柔らかくなる迄煮ます。

 3 サーリエットを取り除き、味をみて、塩、胡椒をし、
   小量のスープで卵黄を溶きのばして混ぜます。

 4 スープを注ぎ分け、クラッカーを砕いて浮かしにします。

 * フランスの田舎の家庭では、燻製の香りが充分に
   ついている、ベーコンを使用します。


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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
キッシュロレーヌ』の作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 キッシュは、卵、クリーム、脂肪、または
 ベーコンでつくったおいしいパイの一種。
 熱いうちにすすめます。

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フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『桑名のはまぐり』『山城の竹の子』
 ご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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