ただ今、新しいパートナーの方々と、フランス料理博物館 plaisir de la table(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)の 内容の充実に取り組んでおります。
皆様お元気ですか 待ちわびた春がやってきました。 お料理作りは、あれこれとお考えのことと思います。 今日は空豆についてお話をしましょう。
◇ソラマメ(空豆・蚕豆) ◇科名・来歴 マメ科ソラマメ属の双子葉植物の実です。 原産地はペルシャ北部または北アフリカといわれています。 歴史は古く、4千年の昔から栽培されていたという説も あります。 わが国には8世ごろ中国よりはいってきました。 ◇栽培 さやは長だ円形で厚みがあり、表面に微毛(びもう)があり、 中に2〜3個の豆がはいっています。 春の中ごろ葉腋(ようえき)に、蝶形をした薄紫色 または白色に紫黒色の斑点のある花が咲き、 そのあと、空に向かって莢(さや)が実ります。 それで空豆と呼ばれるようになりました。 漢字で蚕豆と書くのは、養蚕期にできるからとか、 形がカイコに似ているからといわれています。 中国地方では『夏豆』、四国では『4月豆』、 静岡では『5月豆』、関西では『大和豆』、 神奈川では冬植えるから『冬豆』、千葉では 『雪割り豆』、伊勢では『雁豆』ともいいます。 中国から伝来の意味で、九州では『唐豆』または 『胡豆』ともいいます。 花が南に向かって開くから『南豆』ともいわれ、 『和漢三才図会』には『子孫繁昌草』の名で出ています。 近畿以西の各地で栽培されていますが、 特に福岡、佐賀、熊本あたりの出荷が多く、4〜6月 ごろが旬です。 生のものにはビタミンB1、Cが比較的多く含まれています。 空豆の美味しいのは、三日間だけといわれるほど鮮度の おちるのが早く、莢付のものを選ぶことが肝心です。 むくとすぐに堅くなります。 莢は柄が緑色でみずみずしくしわのないものを選びましょう。 ◇調理 むいたものでは、『おはぐろ』と呼ばれる豆の爪が 黒くなっていないものがよく、茹でたときにしわの よるものや、皮の堅いものはよくありません。 調理する直前に莢から豆を出し、塩を少し入れた湯で、 3〜4分間茹でます。 このとき、強火でふたをあけたままゆでることです。 そのまま、おつまみやおやつによく、また醤油と お砂糖で煮含めても美味しいです。 生のまま切り目を入れて天麩羅にもなります。 また、若い空豆を炊き込んだ茶飯も、香りがよくて 美味しいです。 なお、この種のもので、『おたふく豆』とか『一寸豆』と 呼ばれるものは、成熟して乾燥したものを2〜3日くらい 水に漬けてもどし、とろ火で柔らかくなるまで湯煮したのち、 塩と黒砂糖で調味し、汁のなくなるまで煮込んだものです。 西洋料理では、空豆を莢からだし、茹でる時に塩と、 サーリエット(*1)を加えます。 茹でた豆の皮をむき、バター炒めにするか、生クリームで 和えたり、茹でた豆を、裏ごしにして、バター、塩、 胡椒で味つけした『空豆のピュレ』も美味しいものです。 (*1)サーリエット 英名:セイボリー、和名:キダチハッカ(木立薄荷)。 シソ科の一年草で、原産地は南ヨーロッパ。 豆科のハーブと呼ばれ、空豆・インゲン豆・レンズ豆の 調理に使用します。 私がフランスで料理の修行中によく作った、 懐かしい空豆のスープがあります。 今日はそれをご紹介しましょう。
◇空豆の田舎風スープ 材料 4人前
作り方 1 空豆は少し固い目に茹でて、皮をむいておきます。 玉葱は皮をむき、半割りにし、更に横半分に切って 薄切り、ベーコンは7〜8mmの幅に切ります。 サーリエットはガーゼで包みます。 2 ベーコンとバター大さじ1杯を鍋に入れ、少し炒め、 玉葱を加えてしんなりとなる迄炒め、空豆、 サーリエット、固形スープ、水を入れて、野菜が 柔らかくなる迄煮ます。 3 サーリエットを取り除き、味をみて、塩、胡椒をし、 小量のスープで卵黄を溶きのばして混ぜます。 4 スープを注ぎ分け、クラッカーを砕いて浮かしにします。 * フランスの田舎の家庭では、燻製の香りが充分に ついている、ベーコンを使用します。
☆ お知らせ ムッシュ米津の家庭料理のページでは 『キッシュロレーヌ』の作り方をご紹介しています。 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html キッシュは、卵、クリーム、脂肪、または ベーコンでつくったおいしいパイの一種。 熱いうちにすすめます。
フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで ご紹介しております。 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html 今月は『桑名のはまぐり』と『山城の竹の子』を ご紹介しております。 こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。
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