フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.46  2012年9月


フランス料理博物館 plaisir de la table

(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、

試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。

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今回は水について、2回に分けてお話しをしましょう。

飲料水(いんりょうすい)は、上水道水、井戸水など人の
飲用に供する水と、その他、食料品としての飲料水
(清涼飲料水)があります。
飲用可能な水、水質基準、飲料水の味、飲料水の種類に
ついてお話ししましょう。

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(1)飲用可能な水

人間が飲用可能な水は、余分な成分があまり入っておらず、
有害な微生物の含まれないもの
です。
北海道を除く日本に於いては、多くの河川の中流以上で
あれば、その水が飲用可能であり、昔から飲み水に困る
ことはありませんでした。
しかし現在ではむしろ環境汚染(水質汚濁など)のために
飲めない場合がありますが、世界的に見れば珍しい方に
属します。
それ以前に、河川すらない地域も世界には多くあります。

まず、塩分などが多過ぎるから海水は飲めません。
同様に、内陸でも塩分などの多い水は飲めませんし、火山
地帯などでも、特殊な成分を含んで飲めない水があります。

また、病原微生物を含む水は飲めせん。
飲むと腹痛を起こしたり、下痢になったり、もっと恐ろしい
病気になったりする可能性があります。
この点に関しては、個人の体質や耐性も関係し、現地の人間は
無事でも、旅行者には危険な場合もあります。
国外の多くの地域では生水は危険ですから、飲用しない方が
良いと思います。

熱帯地方では河川の水が危険である場所が多く、むしろ
野外から得られる水より、ココヤシの果実の中の水など、
植物体内の水を利用する例が多々あります。
植物体内であれば、ほぼ無菌に近いからです。
ウツボカズラ(熱帯地方に産する食虫植物)の捕食袋の水も
飲用にされることがあります。
ただし、袋が開く前に限りますが。

赤痢やコレラなど、病原体で汚染された飲み水から感染し、
大流行する病気も数多くあります。
そのため、安全な飲み水の確保は、古くより、ある程度
文化の進んだ地域では重要な課題でありました。
世界的には、日本よりはるかに乾燥した地域が多く、
そういった地域では、まず水そのものを得る方法を
考案しなければなりません。
井戸はその代表的な技術であります。

水質基準
飲用を目的として給水する水道水については
水道法で51項目の水道水質基準が定められており、
水道事業者はこの基準に適合した水を供給しなければ
なりません。
従って、日本の上水道水はそのまま飲める水を提供する
ので、安全に飲用出来ます。
給水事業ではない(例えば個人所有の井戸水等)の
水質基準については、法的に定められていません。

飲料水の味
水にもうまい、まずいがあります。
それは4つの要素で決定されます。
 水温-------体温より20〜25℃低いと美味に感ずる。
 含有成分---(1)適度なミネラル分(1リットル中100mg程度)
       (2)適度な硬度、
       (3)炭酸ガスと酸素量
 気象的条件(寒暖の気候)
 生理的条件(個人の体調)が挙げられます。

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(2)硬水と軟水

まず、硬水と軟水の違いとは?
ミネラル分を多く含んだ水を硬水といい、少ないのを
軟水
といいます。
ここでいうミネラル分とは、カルシウムとマグネシウムの
ことで、これらの含有量によって、硬度という数値で
分類されます。日本では
 @硬度100未満の水を軟水、
 A硬度100〜300程度までの水を中硬水、
 B硬度300以上の水を硬水

と呼んでいます。
これらの代表的な銘柄と適した用途をまとめると、
次のようになります。

硬度による適切な水の使い方

@硬度100未満の軟水は、炊飯や和風だしを取る場合
など、日本料理全般に適しています。
また緑茶をはじめ、コーヒー、紅茶などを入れるのにも
適しています。
硬水で炊飯や緑茶などを入れると、ご飯はパサパサに
なったり、緑茶は味や香りが十分に出ません。

A硬度100〜300の中硬水は、洋風のだしをとったり、
煮物や鍋物に向いていると言われます。

そしてB硬度300以上の硬水は、
スポーツ後のミネラル補給や妊産婦のカルシウム補給、
便秘の解消やダイエット時のミネラル補給に良いと
されています。
現代の日本人には硬水も必要です。
本来、日本人が慣れ親しんでいるのは、軟水であると
いわれています。
火山国である日本は、火成岩の地層が多く、
地下水のほとんどがミネラルの少ない軟水であり、
その軽い味に慣れているからです。

この軟水を飲み水にしてきた日本人は、
硬水を飲んでいるヨーロッパ人などのように、
水からミネラルを補給することはできませんでした。
その代わりに小魚や海藻類をたくさん食べることで、
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを
補給してきたのです。

しかし、現代の日本人の食生活は洋風化が進み、
昔のようにミネラル豊富な海産物を食べることが、
著しく少なくなっています。
現代の日本人は、全般的に慢性的なミネラル不足である
とも言われています。
現代では日本人も硬水を飲んでミネラルを補給する
必要がでてきました。

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今日はここまでにして、次回はミネラルウオーターについて
お話しをしましょう。

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 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『松茸』『そば粉』
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こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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