フランス料理博物館 プレジール・ドゥ・ラ・ターブル

Vol.50 正月(2013年1月)


フランス料理博物館 plaisir de la table

(プレジール・ドゥ・ラ・ターブル)は、

試行錯誤をくり返しながら、内容の充実に取り組んでおります。

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皆様、明けましてお目出度うございます。
本年も身近にある食品料理に関するお話しを
拾い集めて制作したいと努めて参りますので、
宜しくお願い申し上げます。

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■サツマイモ 英名 スウィートポテイトsweet potato

サツマイモは、ヒルガオ科サツマイモ属の植物。あるいは
その食用部分である塊根(養分を蓄えている肥大した根)です。
別名に、甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも、とういも)、
琉球藷(りゅうきゅういも)といい。
仲間に、アサガオやヨウサイ(アサガオ菜)があります。

花はピンク色でアサガオに似ていますが、鈍感な短日性であるため
本州などの温帯地域では開花しにくく、品種や栽培条件によって
まれに開花する程度です。また、花の数が少なく受粉しにくい上に、
受粉後の寒さで枯れてしまう事が多い為、品種改良では種子を
効率よく採るためにアサガオなど数種類の近縁植物に接木して、
台木から送られる養分や植物ホルモン等の働きによって開花を
促進する技術が使われます。

1955年(昭和30年)に西山市三氏がメキシコで祖先に当たる
野生種を見つけ、イポメア・トリフィーダと名付けました。
後に他の学者達によって中南米が原産地とされています。
若い葉と茎を利用する専用の品種もあり、主食や野菜として
食用にされます。
原産は南アメリカ大陸、ペルー熱帯地方とされており、
スペイン人或いはポルトガル人により東南アジアに導入され、
そこから中国を経て17世紀の初め頃に琉球、九州、その後
八丈島、本州と伝わって来ました、アジアにおいては
外来植物であり、このため中国(唐)から伝来した沖縄や
九州では唐芋(奄美群島では薩摩芋)と呼ばれています。

ニュージーランドへは10世紀頃に伝播し、「クマラ」kumaraの
名称で広く消費されております。
西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広く栽培されていたため、
古代ポリネシア人は南米までの航海を行っていたのではないかと
推測されています。


■品種

ベニアズマ、ベニコマチ、紅赤(べにあか)、金時などの
品種があります。
でんぷん原料用としては、シロユタカ、シロサツマ、
コガネセンガン
(黄金千貫)など。
シモンイモ− 南アメリカ原産の白甘藷(英語:Ipomoea batatas)は
日本では「シモン芋」とも呼ばれます。
天然着色料の原料としても使用される品種は、
七福人参(カロテン色素を抽出まします。)
琉球紫(アントシアニン色素を抽出します。)
パープルスイートロード(アントシアニン色素を抽出します。)


■日本における主産地

鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県が全国のトップ5県。
この5県で全国の8割、とりわけ鹿児島県は全国の4割を産します
(2005年(平成17年)産農林水産省作物統計)。
同県ではでんぷん原料用としての作付けも多い。
これほど産地が偏在しているのには幾つか理由があります。
まず、水はけの良い火山灰を含んだ土地がサツマイモも栽培に
適するのですが、そのような土壌が鹿児島には広がっていること。
また、サツマイモは地上に実を付ける作物ではないため、
比較的風害にも強い作物だと言えるが、台風がしばしばやってくる
鹿児島においては、この風害に強いという点が他の作物よりも
有利だったことも挙げられます。

ブランド産地
鹿児島県 - 知覧紅(ちらんべに)
徳島県 - 鳴門金時(なるときんとき)
石川県 - 五郎島金時(ごろうじまきんとき・ 加賀野菜)


■栄養価

澱粉が豊富で、エネルギー源として適しています。
また、ビタミンCや食物繊維を多く含み、加熱しても
ビタミンCが壊れにくいという特長があります。
しかし、タンパク質の割合が低いなどの理由で、
サツマイモばかり食べていると、カロリーベースでは身体を
支えることができても、栄養失調(特にタンパク質の欠乏)に
陥るという欠点も併せ持っています。

単位面積当たりのカロリーベース収量は、コメを上回るが、
この地方においてサツマイモがコメに取って代わって
主食の座につけなかったのは、コメと比べて保存性に劣ること、
保存性に劣るために長距離の運搬にも向かないことなどの
理由の他に、栄養面(特にタンパク質)でコメに比べて不利
あったことも理由となっています。


■調理法

60℃程度で長時間加熱すると、デンプンを糖化する酵素が働いて
甘味が増します。石焼き芋やふかし芋はこの性質により甘味を
最大限引き出す調理法です。
また天ぷら、スイートポテトや大学イモ、キントン、スナック菓子、
干し芋などに加工されることが多くあります。
生のまま日光に晒しておくことにより、より甘味度が増します。
灰汁が多いので、切ったらすぐに水に晒します。

 ◆焼酎
 サツマイモは焼酎の原料としても利用され、サツマイモを
 主原料とした焼酎を芋焼酎と言います。澱粉を糖化する為の
 麹原料として、米と共に芋が使用されます。

 鹿児島では江戸時代から芋焼酎が作られており、法律によって
 自家醸造が禁止されるまでは、広く家庭で作られていました。
 よって、鹿児島では「味のよい焼酎を作れる女が立派な主婦
 などと言われて居りました。
 当時の作り方は、サツマイモを蒸してから臼で潰し、それに
 加水して2〜5日放置し、そこに黄麹を加えて攪拌して放置して
 作った醪を、ツブロ式蒸留器で蒸留するというものでした。
 なお、2000年代には焼酎ブームによりサツマイモ不足に
 陥りました。また、中小建設業者が多角化の一環として
 コガネセンガン(黄金千貫)の栽培に取り組む例もみらています。

 原料イモの品種
 食用としても広く消費されるベニアズマ紫芋の1種で
 アヤムラサキ、焼酎専用品種のジョイホワイトなど様々な品種が
 使用されており、耐病性、単位面積あたりの収穫量、デンプンの
 含有率、貯蔵性を良くすることに主眼が置かれた品種改良が
 行われています。
 農林2号 1970年(昭和45年)頃まで中心品種として栽培されて
 いました。
 コガネセンガン 1966年(昭和41年)に命名登録され1967年
 (昭和42年)より用いられ1980年(昭和55年)過ぎまでは
 中心品種として栽培されていました。
 これは、農林2号よりデンプンの含有率が高く1株当たりの収量が
 1.5倍であったことによります。

 ◆石焼き芋
 石焼き芋の屋台は秋から冬にかけての風物詩。
 「いしやきぃいも〜」という特徴のある呼び声や、
 地域によってはピヨーーーーという独特の笛の音を響かせて
 街を巡ります。この笛は芋を焼く窯に取り付けられており、
 排ガスの圧力で鳴る仕組みになっています。

 ◆甘古呂餅(かんころ餅)
 甘古呂餅は長崎特産の甘藷(サツマイモ)を薄く輪切りにし、
 湯がいて天日で干し上げ、もち米と蒸して搗き合わせ、
 お餅に仕上げたものです。かつてもち米の貴重だった時代に
 その量を増やすために作られ、冬の間の貴重な保存食でもりました。
 長崎の崎戸、大島、五島などの島々では今でも
 各家庭の伝統として伝えられています。


■栗よりうまい

往時、「クリのような味」を「九里に近い」とかけて、
八里半」という名も生まれていました。この呼び名は今日でも、
やや転訛したハッチャンという形で長崎県諫早地方に伝わっています。
なお、隣接する島原半島内ではハチリ(八里)の呼称が一般的であります。
その後、焼き芋の行商等によって「九里(栗)より(四里)美味い十三里
という売り言葉も派生しました。これは、サツマイモの産地として
知られた武蔵国川越(現在の埼玉県川越市)が、
江戸から川越街道で十三里半の距離にあったことに由来すると言われております。

同様に、愛媛県の佐田岬半島地域でも、佐田岬半島の長さが約13里であることから、
かつては(昭和の初期頃)「栗よりうまい十三里」と言われてきました。
なお、同半島は火山灰の混じる土壌でサツマイモの産地でもあります。
いずれにせよ、かつて「栗に近い」と言われていたサツマイモが
「栗より美味い」と言われるようになったのは、
明治以降の品種改良によるものであります。


■芋掘り

秋、サツマイモの「芋掘り」を観光農園などで体験することができます。
サツマイモは収穫しやすく探り掘りの楽しみもあるうえ、
掘った後の調理も比較的簡単であるので、学校行事等で
芋掘りを行うこともよくあります。
幼稚園・保育所などでは、秋の行事として定着しているところも
少なくありません。
収穫したイモを園庭で焼き芋にして食べるのは楽しい事です。


■丸十
薩摩芋は、日本料理の献立に「丸十(まるじゅう)」と書かれることがあります。
これは、薩摩藩島津氏家紋が丸に十字であることが由来だとされていいます。

青木昆陽(あおき こんよう)は、日本における、
サツマイモの栽培、普及に貢献した人物として知られております。
薩摩芋の関東への普及は、青木昆陽の薩摩芋試作の後、
関東に薩摩芋栽培が広まったとされています。

ではここいら辺でサツマイモを使ってお料理を作りましょう

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サツマ芋のクロケット

 材料 2人前
 ・サツマ芋 200g(皮をむいて150g)
 ・玉葱 50g
 ・マッシュル−ム 30g
 ・卵黄 1個
 ・牛乳 大匙1杯
 ・月桂樹の葉 1枚
 ・刻みパセリ 小匙1杯
 ・ベシャメルソース
  −小麦粉 25g
  −バター 25g
  −牛乳 150cc
 ・衣用(小麦粉・卵・コーンフレーク)
  −揚げ油:サラダ油

 作り方

材料を切ります
  サツマ芋の皮をむいて、粗切りにします。
  マッシュルームは半分に割って3〜4mmの薄切り、
  玉葱はみじん切りにます。

タマネギ、マッシュルームを炒めます
  平鍋にバター大匙1杯を溶かし、
  玉葱、マッシュルームに月桂樹の葉を加えて、
  野菜が柔らかくなる迄炒めます。

サツマ芋を茹でます。
  鍋にサツマ芋、水を入れて煮立てます。
  弱火で15〜17分煮て、柔らかくなったらざるに上げ、
  水気を良く切って鍋に戻し、火にかけ木しゃもじで、
  芋を粗く切る様につぶしながら全体を混ぜます。

コロッケの生地を作ります
  炒めた野菜を加え、別に作っておいたベシャメルソースを
  入れ、刻みパセリを加え、卵黄を大匙1杯の牛乳で溶いて入れ、
  少し弱火で煮て、塩、胡椒で味を調えます。
  バットにあけて月桂樹の葉を取り出し、表面を平らにして冷ましてから、
  12等分して丸めます。

コーンフレークを付けて揚げます
  小麦粉を付け、溶き卵をくぐらせ、砕いたコーンフレークを付けます。
  やや高温の油で揚げます。
  コーンフレークのない場合は、普通のパン粉で代用して下さい。

ベシャメルソース

 作り方

1 鍋にバターを入れて火にかけ、溶けたら
  弱火にして小麦粉を加えます。
  焦がさない様にかき混ぜながら炒めます。

2 ねっとりしていたものが、パサパサッと
  なってきたら、鍋を火からおろし、
  濡れ布巾の上にのせ、粗熱を取ります。

3 鍋を弱火に戻し、牛乳を4〜5回に分けて
  入れるのですが、最初1杯を入れてよくかき混ぜ、
  鍋の中が均一で滑らかになってから、
  次の牛乳を加えます。
  これを牛乳がなくなるまで、繰り返します。

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サツマ芋と セロリーのポタージュ

 材料 5〜7人分
 ・サツマ芋 400g(皮をむいたもの)
 ・白葱 100g
 ・セロリー 150g
 ・チキンブイヨン 900cc
 ・生クリーム 100cc
 ・バター 1枚
 ・刻みパセリ
 ・塩、胡椒

 作り方

 1 材料を切ります
   サツマ芋は皮をむき、小さく切ります。
   セロリーを、繊維に直角に薄く切ります。
   白葱も同じ様に薄切りにします。

 2 野菜を炒めて煮ます
   セロリー、白葱を大匙1杯のバターで柔らかくなる迄
   炒めます。
   サツマ芋とチキンブイヨンプを入れて煮立てます。
   弱火にして、蓋をし、20〜25分野菜が柔らかく
   なるまで煮ます。
   途中に煮詰まるようならば少しブイヨンを足して下さい。

 3 裏ごしかミキサーにかけて仕上げます
   野菜が柔らかくなったら、裏ごしするか、ミキサーにかけます。
   鍋に戻して火にかけ、塩、胡椒で味をつけ、ブイヨンを加えながら、
   濃度を調整し、生クリームを入れてひと煮立ちさせて火から下ろします。

 * スープは少し多い目に作って、残れば冷凍にして保存出来ます。
   好きな時にレンジで解凍し、鍋に入れて煮立てればすぐに召し上がれます。

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☆ お知らせ

 ムッシュ米津の家庭料理のページでは
 『舌ひらめのムニエル細切り人参の唐揚げ添え』
 作り方をご紹介しています。

 http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/index.html

 あっさりとした舌ひらめを、バターの香り立つ
 外側をカリッとさせた「ムニエル」に
 いつもの食卓がちょっと豪華に見えるでしょう。

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 フランス料理に役立つ「フランス料理の食材・機材」では、
 料理に使っていただきたい最高の食材と機材をリンクで
 ご紹介しております。

 http://www.plaisirdelatable.jp/food/index.html

 今月は『パールミートFYA(畜肉・魚介類の接着)』
 『真空包装機』をご紹介しております。

こちらのコーナーも、ぜひご活用ください。

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