プレジール・ドゥ・ラ・ターブル
サイトオープンに寄せて

関西を、いや日本を代表するフランス料理のシェフ・米津春日さんが、このたびフランス料理博物館 “プレジール・ドゥ・ラ・ターブル”なるサイトを始められた。

フランス料理は変化と進化を続ける料理である。米津シェフは、我が国フランス料理界の扉を開いた料理人の一人だ。したがって、シェフの歴史は日本のフランス料理の歴史と重なる。現代では、いとも簡単に手に入る食材が、当時は憧れであった。それを入手するために料理人がどれほど努力をしたか。それらを知ることが自分たちの世界を広げることにもなる。

米津シェフが、日本のフランス料理の第一世代と考えるなら、いま30歳代のシェフは第四世代といえる。当然のことながら、料理に対する考えは異なるであろう。常に前進しようとするのがフランス料理である。伝統を尊びながら新たな風を取り込んでゆく。伝統があるからこそ、新風が入り込む余地がある。つまり、伝統を知ることが現代の料理を作るために必要な要素といえる。

今回米津シェフが作られるサイトは、まさにそれらを知るにもっともふさわしい内容といえる。一つはフランス料理を作る人達、また愛する人達への熱きメッセージである。それと同時に子供達の世代に、料理を作ること、それを囲んで食べ語り合うことの楽しみを伝えるものともいえる。
そんなサイトがこれまで存在しなかったのが不思議なくらいだ。

このサイトが充実することが、私達の生き方に大きな影響を及ぼすにちがいないと信じている。
その主宰者の米津春日さんの功績に感謝し、微力ながら参加したいと思っています。

2008年9月29日

門上 武司
料理評論家 門上 武司

プロフィール

門上 武司( かどかみ たけし)

1952年大阪生まれ 料理評論家・フードコラムニスト
料理雑誌「あまから手帖」編集主幹・株式会社ジオード、有限会社 門上武司食研究所 代表取締役
現在は執筆、編集業務を中心に、プロデューサーとして活動。食に携わる生産者・流通・料理人・サービス・消費者をつなぐ役割を果たす存在。
2002年10月(財)日本ソムリエ協会より名誉ソムリエの称号を授与される。
スローフードジャパン 副会長、スローフードなにわ副理事長。

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